新サービス「Dprime」UXデザイン
パーソナルデータを⾃ら活⽤でき、企業からのギフトを受け取れる新たな情報銀⾏サービス「Dprime」の企画〜アプリ デザインを⽀援
三菱UFJ信託銀⾏株式会社様
三菱UFJ信託銀⾏株式会社様(以下、MUTB様)は2021年7⽉、利⽤者が⾃分のパーソナルデータを⾃らの意思で企業に提供し、企業からのギフトを受取れる新しい情報銀⾏サービス「Dprime」をリリースしました。
「Dprime」は、これまで個⼈のパーソナルデータが、⾃分の意思に関係なく、知らない企業に、収集・利⽤・販売される暗黙の常識に対し、企業と個⼈がオープンに繋がり、共に繁栄していく新しい時代の企業と個⼈のあり⽅を再定義するサービスとして誕⽣しました。
また、今まで⾦融資産を預かってきたMUTB様として、次世代の信託銀⾏としての可能性を拡げる取り組みでもあります。テックファームは、デザインチームを中⼼に、初期仮説検証からサービスの体験設計・プロトタイプ検証、実証実験⽀援、UIデザインを⽀援いたしました。
サービスについて
機能①パーソナルデータを貯める ⾃分⾃⾝の資産として、「⾏動履歴」「資産状況」「⽣活・趣味・嗜好」のデータを連携できます。データはMUTB様も、無断で利活⽤することはできない安全でフェアな設計になっています。
機能② 企業からのオファーを⾒る 企業から届くオファーを⾒ることができます。オファーには、「提供して欲しいデータ」「何に役⽴てようとしているの か」「お礼として、どんなギフトを受取れるのか」を詳しく⾒ることができます。
機能③ オファーに応諾してデータを提供する オファーの内容に納得できたら、貯めたパーソナルデータを企業に提供できます。
機能④ギフトを受け取る オファーに応諾したお礼としてギフトを受け取ることができます。ギフトは企業が発⾏するクーポンやサービス・体験など様々。
またその他にも、今まで応諾してどんなデータをどの企業に提供したのか、振り返ることもできます。
プロセスについて
1. 初期仮説の体験構築とユーザーの許容性検証(2018/1〜2018/3)
「パーソナルデータを消費者⾃らが⾃分の意思で活⽤できる世界」というまだ誰も体験していない世界をテーマに、どのようなユースケースがありえるのか、またその際にはどのような体験になるのかを当社のサービスデザイナー陣でファシリテートさせていただき検討を進めました。
また早い段階でUXデザイナーによってプロトタイプとして可視化され具体的なイメージを作りながら検討することで、チームでのディスカッションに肌触りを加えながら進⾏させていただきました。あわせて利⽤者にとってデータを提供するという⾏為や、プロトタイプに対する許容性の検証を⾏いました。
2.ユーザー体験の磨き込みとユーザーと参画企業への需要性検証(2018/4〜2018/7)
検証からの学習を元に、体験の磨き込みと企業とユーザーを紐づける核となる「企業からのオファー」の検討をさらに具体的に進めました。このタイミングでは、MUTB様のみならず、参画企業の⽅にもワークショップに参加いただき、ユーザーと参画企業双⽅価値のあるオファーはどのようなものが考えうるかをさらに具体的にしていきました。「Dprime」はアプリ利⽤者だけでなく、参画いただく企業様も⼤事なユーザーとして捉え、デザインを進めさせていくことは⾮常に⼤切なポイントでした。
2回⽬のアプリ利⽤ユーザーへの需要性検証とあわせて、参画企業への需要性検証もさせていただき双⽅からの学びを深めていきました。
3.実証実験の設計・準備及び実施(2018/8〜2018/12)
このフェーズでは、プロダクトが具体的になってきた次のステップとして、ユーザーさんが⽣活の中で利⽤された際の⾏ 動から学習するため、実証実験を⾏うことをキーアクションとして、以下のような幅広いアクションを担当させていただ きました。
実証実験では、約1000名の⽅に参加いただき、アプリUXからコンテンツへの反応まで幅広い気付きを得ることができま した。
実証実験の設計
MVP(Minimum Viable Product)の抽出
アプリケーションの構造デザイン、UI設計、ビジュアルデザイン
オペレーションフローの検討
PoCに必要な動画制作
4.リリース版のデザイン(2019/2〜2019/9)
実証実験後、結果からの改善点を整理し、リリース版のプロダクト開発へ移⾏していきました。開発⽅法は、アジャイル開発が採⽤され、当社デザインチームも参画し、開発と改善を重ねながらUIデザインやグラフィックデザインが進められ、2021年7⽉にお披露⽬されました。
プロジェクトのポイント
このプロジェクトは、まだ世の中に⼀般的に認知されていない体験を提供するため、不確実性が⾮常に⾼いことから以下の点を⾮常に重要視して進めさせていただきました。
思い込みだけで⼤きく作りすぎないこと
すぐに即席のプロトタイプなどにして、チームのイメージを可視化して進めること
アプリ利⽤者、参画企業をユーザーと捉え検証や対話を重ねながらユーザーに寄り添いながら進めること
チームの次のアクションを固定化せず、検証から得た学習から次にすべき⾏動をチームで検討し、イテレーティブに進めること