サービスデザイン事例:エフコープ生協
『コープのれいちゃん』STEP1
スマホアプリ『コープのれいちゃん』の開発で取り入れた「サービスデザイン」の全貌をご紹介!
エフコープ生活協同組合様
サービスデザインがプロジェクトの成功を左右する
テックファームでは、エフコープ生活協同組合(以下、エフコープ)様が提供するスマートフォンアプリ『コープのれいちゃん』の開発を担当させていただきました(概要についてはこちらよりご覧ください)。 本アプリの開発過程における特徴の1つが「サービスデザイン」の採用です。 当社のサービスデザイン専門チームがプロジェクトのキックオフ段階から携わり、組合員の方が本当に必要とするアプリは、どうあるべきか、エフコープ様、コープ九州事業連合様とともに議論・検討などを深め、具体化したものが『コープのれいちゃん』です。 当記事では、『コープのれいちゃん』のアプリ開発において「サービスデザイン」をどのように取り入れ活用したのか、ご紹介いたします。
『コープのれいちゃん』誕生までの道のり
本プロジェクトの始動からリリースまで約1年にわたる期間のなかで、約5ヶ月を費やして実施した「サービスデザイン」。 具体的なプロセスやアウトプットとして何が得られるのかなどについて、守秘義務に抵触しない範囲で公開いたします。 ※本コンテンツの公開に際してはエフコープ様に多大なるご配慮をいただきました。この場を借りまして、お礼申し上げます。
サービスデザインとは? 問題解決のためのプロセスとマインドセットです。サービス開発を進める際に必ずぶつかる「これは本当に必要とされるのか?使われるのか?」というリスクを軽減するために、仮説立てとユーザーからのフィードバックを得ながらサービスの質を上げていく手法の1つです。テックファームでは専門の「サービスデザイナー」がファシリテートし、お客様・エンジニア・UIデザイナーと共にプロジェクトを進めていきます。
サービスデザインのプロセス
エフコープ様のアプリ開発では、以下のようなステップでサービスデザインに取り組みました。
STEP1 現状理解
STEP2 課題インタビュー
STEP3 解決策の設定(ワークショップ)
STEP4 解決策構築(プロトタイピング)
STEP5 解決策の検証(ユーザビリティテスト)
以下では各STEPごとに詳しくお伝えします。
STEP1 現状理解(開催日:2017年4月某日[連続2日間])
>> 今回のゴール << プロジェクトの目的を明確化 アイデアの整理
プロジェクトでまず最初に取り組むべきこととは?
キックオフMTGでは、関係者の紹介や今後の全体スケジュールの共有、各社の役割確認などがアジェンダとなるケースが多い中、本プロジェクトは、それだけにとどまらず初回から2日間連続でみっちりと議論が交わされました。 初回からカットオーバーまで、すべてのMTGにおいて共通していたことですが、エフコープ様は当社の提案について受け身ではなく、ワークショップなどを通じて自ら積極的に関わり、組合員の皆様に喜んでいただけるアプリにしようという並々ならぬ熱意を持たれていました。 特に初めてスマートフォンアプリを開発する企業様では、こんな機能が欲しい、画面のデザインはこうしたいなど具体的なプロダクトについての議論からプロジェクトをスタートしがちです。 場合によっては、いきなり要件定義から始めるケースもあるようです。テックファームでは、最初に取り組むべきは、プロダクトについて議論する、すなわち「どうやって作ろうか」ではなく、「誰のために何を作るべきか?」を問いかけることだと考えます。
ご挨拶もそこそこにエフコープ様とともに取り組んだのは、まず戦略フェーズとして「本プロジェクトの目的を明確化」することです。つまりアプリを作ることをゴールとせず、「アプリを作ることで何を成し遂げたいのか」を明文化し、プロジェクトに携わる全員で共有することでした。エフコープ様が保有されている、お客さまに関するデータとテックファームの知見を掛け合わせ、ファクトとイマジネーションを行き来しながら多様な視点からの討議を進めた上で私たちがたどり着いたのは「楽しく生協を利用してもらい、結果継続利用に貢献する」というゴール設定でした。
次に取り掛かったのが「アイデアの整理」です。私たちがこれまでにサポートさせていただいた企業様と同様に、実はエフコープ様でもアプリに盛り込みたい機能やデザインについて事前に議論され、絞り込まれておりました。しかしながら検討された各機能は、実際にお客様にとっての、どのようなシーンの問題解決に寄与するのかについてまでは、明文化されていませんでした。こうした状況を踏まえ、私たちが提案したのが「サービス仮説ツリー」に沿った検討です。機能やサービスにフォーカスして議論を進めるのではなく、私たちはどのようなユーザーを対象としてアプリを開発しようとしているのか、そのユーザーはどのような課題を抱えているのか、ユーザーは今のところどういった方法で課題に対処しているのか、この課題を解決することはユーザーにどのような価値提供につながるのか、などを明確にしながらワークショップを進めました。多くのアイデアや意見が出されましたが、本プロジェクトの参加者の間でプロジェクトのゴールがしっかりと共有されていたことから、「サービス仮説ツリー」へのマッピングはスムーズに進み、チーム内での共通理解を形成することができました。
【はみ出しコラム】
エフコープ様は本アプリを開発されるにあたりコンペを実施され、当社を含め5社以上が参加しました。 ご発注先を選ばれるあたってはエフコープ様に明確な基準がいくつかあり、そのうちもっとも重要視されていたのは、どういう仕様で開発するか、ではなく組合員の方にどう利用してもらうか、つまりペルソナを意識した企画内容やデザインであるかをポイントとして挙げておられました。
※STEP2以降は以下の内容となっております。各リンクよりご覧ください(STEP3〜5はダウンロード資料となっております)。